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臨床工学技士の年収は高い?低い?データで見るリアルな平均年収

2025.2.12

コラム

臨床工学技士は、医療機器のスペシャリストです。患者様の命に関わる生命維持管理装置の操作や保守点検を担うため、知識や技術、責任が伴う仕事ですが、「その割には、臨床工学技士の年収は低いのでは?」と心配になる人もいるようです。
やりがいは大きい仕事ですが、どんな職業でもやりがいだけでは生活していけないのが現実。安定した生活を送ることはできるのでしょうか。今回のコラムでは、平均年収のデータをもとに臨床工学技士として働くリアルを検証してみます。


臨床工学技士の年収データ

厚生労働省では、「賃金構造基本統計調査」において、臨床工学技士を「その他の保健医療従事者」として分類しています。同省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」[1]によると、この「その他の保健医療従事者」の令和5年の平均年齢は40.1歳、全国平均月収は24.1万円、平均年収は459.3万円でした。また、公益社団法人日本臨床工学技士会「臨床工学技士の業務実態調査2020」[2]によると、年収が「401〜600万円」という回答が45.2%と最多でした。国税庁が公表している「令和5年分民間給与実態統計調査」[3]によると、給与所得者の2023年の平均年収は459.5万円なので、ほぼ平均と同じです。

臨床工学技士(その他の保険医療従事者)の平均年収459.3万円
全職種(非正規を含む)の平均年収459.3万円

[1] 職業情報提供サイト「jobtag」
[2] 公益社団法人日本臨床工学技士会「臨床工学技士の業務実態調査 2020」
[3] 令和5年分民間給与実態統計調査

年代別の年収

臨床工学技士(その他の保健医療従事者)の年収を年代別で見てみると、下記の通りでした。
年代が上がるにつれ年収も上がっていくことが分かります。

20〜29歳351.9万円
30〜39歳446.4万円
40〜49歳513.5万円
50〜59歳554.6万円

収入は働く病院の規模や種類によっても異なる

国公立の病院などの大規模な病院では、臨床工学技士が担う業務の幅が広く、手当のつく夜勤や残業なども発生するため一般的に給与も高い傾向にあります。特に大病院の管理職になれば、年収1000万円も夢ではりません。
また、透析クリニックなども業務をする上で高い専門性が求められるため、給与は高くなる傾向にあります。


臨床工学技士として働きながら年収を上げるには?

一般的に、年齢に応じて少しずつ給与は上がっていくものと考えられます。しかし、年収が上がる要因は年齢だけではありません。働き方やキャリア形成の仕方で年収を上げていくことはできます。

・資格を取得してキャリアアップする

臨床工学技士として実務経験を積むことで取得できる資格があります。例えば、「透析技術認定士」は、2年以上の実務経験を経て規定の認定講習を修了し、認定試験に合格することで取得できる資格です。取得後は資格手当の支給が期待できることに加えて、透析治療への専門性が高まるため、より質の高い機器管理やケアを行えるようになり、基本給アップの可能性もあります。
このほかにも、業務に関する資格を取得することで業務の幅を広げることができれば給与アップが期待できます。ルーティンワークを続けているだけで自動的に給与が上がっていく仕事はないので、就職後も常に自己研鑽を怠らず、スキルを磨き続ける努力は大切です。

・夜勤やオンコールで手当を増やす

多くの医療機関では、24時間体制で患者様に対応するため、夜勤を導入しています。夜勤には手当がつくため、夜勤を増やすことで収入アップにつながります。また、夜間や休日などの呼び出しに応えて病院に駆けつける「オンコール」にも手当がつきます。こうした働き方で収入を上げることも一つの方法と言えるでしょう。

・タスク・シフト/シェアによる収入アップも期待できる

2021年7月に、「臨床工学技士法施行規則の一部改正」が発表され、臨床工学技士の業務範囲が広がりました。これは、医師の働き方改革を進めるための法改正です。これまで医師が行なっていた業務の一部を、臨床工学技士も担えるようになったことで、医師の負担を減らすと同時に、臨床工学技士の専門性をさらに活かすことができるようになりました。
例えば、これまで患者様への薬剤投与を目的とする点滴のための静脈血管の穿刺(針を刺すこと)は医師と看護師しかできませんでしたが、手術室や集中治療室において生命維持管理装置を用いて行う治療では、薬剤投与のために血管の穿刺が行えるようになりました。高い技術力や専門性を求められる業務を担えるようになり、この先、臨床工学技士への「タスク・シフト/シェア」はさらに進んでいくと考えられます。こうした専門的なスキルや能力を高めていくことで、医療現場に欠かせない人材になることができ、年収も上がっていくと期待できます。


安定性や働きやすさも魅力のひとつ

今後、医療機器がますます進化・普及するにつれて、それを操作や保守点検をする臨床工学技士へのニーズも高まっていくと予想されます。医療という社会になくてはならない分野であることはもちろん、この先AIが進歩しようとなくなることのない[4]、将来性のある職種です。収入も安定しているため、ライフプランを立てやすく長く働けることが臨床工学技士の魅力の一つです。
また、公益社団法人日本臨床工学技士会の調査[3]によると、月の残業時間は「なし」という回答が8.2%で、1〜10時間が約38%と最も多く、比較的プライベートと両立しやすい環境があると言えます。ただ、これはあくまで平均値です。病院の規模や種類などによって年収や業務量、残業時間は異なるため、就職先を選ぶときには自分自身がどのような働き方がしたいかを考えることが大切です。

[4] AI活用で医療現場はどう変わる?!AI時代の医療と仕事を大検証


自分らしい働き方を見つけよう

仕事は、やりがいだけで続けることはできませんが、逆に、年収が高いという理由だけで継続できるものでもありません。「たくさん仕事をしてたくさん稼ぎたい」「自分の時間を大切にしたい」など、自分が理想とする働き方を考えておきましょう。
それは突き詰めれば、何のために働くのか、モチベーション高く働き続けるためのしっかりとした軸を持つということです。同じ臨床工学技士でも、勤務先や業務内容によって年収も将来のキャリアも変わります。大学在学中に就職先の情報を積極的に収集し、理想の未来を手に入れましょう。


滋慶医療科学大学の就職サポート

本学は、近畿圏内の基幹病院での臨床実習をはじめ、約300の事業所が採用ブースを構える大阪滋慶学園主催の「就職フェア」や、仕事の流れを学内で聞ける「就職説明会」などを通して、「働く」をリアルに感じられる場を数多く設けています。
また、独自の業界ネットワークを最大限に生かし、「総合病院で患者様に貢献したい」「医療機器メーカーで開発エンジニアとして働きたい」といった学生一人ひとりの希望や適性に応じて、担任と学生サポートセンターのスタッフが連携して希望の就職をサポートしています。臨床工学技士の働き方について詳しく知りたい方は、本学ホームページの「臨床工学技士とは」もあわせてご覧ください。