いのちを救うため
最新医療テクノロジーの
フロンティアをゆけ。
滋慶医療科学大学学長の千原國宏です。
滋慶医療科学大学は、滋慶学園グループの教育理念「高い専門性と職業実践能力、豊かな人間性、そして国際社会に通用する能力の涵養」に基づいて、医療安全管理学に関する卓越した実践能力と研究能力を持つ人材の育成を目的として、2011年4月に修士課程のみの大学院大学として開学し既に10年の歴史をもっていますが、医療エンジニアまた医療機器開発者として活躍する「いのちのエンジニア(臨床工学技士)」を育成するために医療科学部臨床工学科を新設した大学です。
現在、医療の分野では加速度的に技術革新が進み、ダ・ビンチをはじめとするロボット技術による手術や治療、AI による画像認識技術を応用した医療診断システムなど、先進医療でも、地域医療の現場でも、既に医療の変革は始まっています。また、医療の安全と管理の専門家としてチーム医療のリーダシップがとれる人材の増加も求められています。このために卓越した教育研究環境を整備すること、ならびに社会的情勢やニーズに応える教育研究に邁進することが本学の重要な責務の一つと考えます。
いうまでもなく大学の使命は、「知の伝承(教育)」「知の創造(研究)」「知の流通(社会貢献)」です。滋慶医療科学大学においても、教育面では医療に従事したいという強い使命感を持った人材を臨床工学技士・学士(臨床工学)あるいは修士(医療安全管理学)として社会に送り出し、研究面では医療機器に関する医学や工学分野の材料・機器・装置の開発あるいは医療安全管理学に関する新たな知見を体系化し、社会貢献面では医療機器や医療安全管理に関する正しい知識を広く社会や世界に還元するという三つの使命を果たしつつ、医療科学の道を究めていきます。
現代のチーム医療を牽引するリーダ的存在、専門知識が豊富なエンジニアあるいは医療安全管理のスペシャリスト、として信頼されるメディカルスタッフの育成に微力を尽くしますので、どうかよろしくお願いします。
学長 千原 國宏
第五期生として迎えた50名の新入生の皆さん、入学おめでとう。
本学は、大阪滋慶学園の三つの教育理念「実学教育・人間教育・国際教育」を踏まえて、「科学技術に支えられた医療技術の進歩が人間の生命の存在状態を進化させる」という視点に立って、二千十一年に大学院大学として開学し、二千二十一年に「広い知識と深い学芸を教授研究することにより、DXによる技術革新が確実に進展している医療分野の将来を見据えて、課題解決力・変化対応力・生涯学習力が備わった時代に即した学士を育成する」目的で医療科学部を開設しました。これまで、「いのちのエンジニア」として医療に貢献したいという強い熱意を持った学生を歓迎し、広く受け入れ、教育してきました。幸い大学で学ぶ意味を理解し、自由と責任を自覚した学びを実践した第一期生、つまり諸君の先輩は、今年三月の臨床工学技士国家試験において合格率百%という輝かしい成果を出してくれました。この実績を本学の伝統とするべく、教職員とともに諸君も努力してくれるよう希望します。
まず、「いのちのエンジニア」になるために「なぜ大学で学ぶのでしょうか」。言うまでもなく、大学での学びとは、専門分野の学問を学び、自ら課題を発見して解決方法や結論を導き出す能力を身につけ、将来の夢を実現するための能力を養うことです。専門学校が特定の職業に必要な知識や技術を教育する受動的な場であるのに対して、大学は既知の知識や技術を体系的に伝える教育という知識伝承の場に加え、未知の事柄を明らかにして知識化する研究という知識創造の場です。皆さんは「いのちのエンジニア」にアクセスする場として大学を選択されたのですから、臨床工学分野を専門とする教授陣のきめ細かな直接指導を受けることにより、自分で課題を発見してその答えを追求する能動的な学びを主体としてください。自分の興味のある学問を主体的に学び、自分で課題を発見してその答えを追求し、自分の考えをまとめる、といった行為を能動的に実行する必要があるのです。滋慶医療科学大学は、皆さんが入学時に物事をどれだけ暗記しているかという古代中国の科挙のような観点からは皆さんの能力を評価してはいません。アメリカの大学のように社会に貢献したいという強い意欲を評価したのですから、大学入学後はアメリカの大学生と同様に猛烈に学ばなければ、本学は卒業できませんし、臨床工学技士として活躍したいという希望は実現しません。「いのちのエンジニア」を目指すこの場の皆さんは、従来の日本の大学生に倍する努力が求められていることを肝に銘じておいてください。
つぎに、「いのちのエンジニア」になるために「何を学べばいいのでしょうか」。皆さんは、これからの四年間、本学が準備している医療人としての基礎科目や臨床工学の専門科目また実験・実習・卒業研究といった必修科目、データサイエンスや人工知能などの選択科目と多様化した内容を真面目に学んで知識や技能を積み上げる必要があります。学術的・理論的な学問を修得し、より幅広い視野から現在の医療科学に不足しているのは何か、将来必要とされる医療技術は何か、といった様々な問いに対する解答を能動的に探求する力を育成し、病院のみならず医療機器の開発や研究の分野でも活躍できる人材に成長することが、大学で学ぶ意義なのです。実際、臨床工学技士の資格を持ったエンジニアとして今年は三名の卒業生が企業に就職し、二名の卒業生が大学院に進学しています。
さらに、「いのちのエンジニア」になるためには「どのように学べばいいのでしょうか」。大学での学びの基本は、「自分の無知を自覚せよ」と言ったソクラテスの言葉に代表されるように、「知っていることと知らないことを明確にする」ことです。何が足りないのかを知らなければ、真の学びの道には踏み出せません。既に、諸君らは、入学前に受講した複数回の特別セミナーにおいて、自分に何が足りないのかを自覚する機会を経験しているはずです。また、四月からの講義を通して、新しい知識に触れるとともに、自分に欠如している知識が何であるかを自らに問い続け反復学習することが大切です。「学問に王道はない」といいますが、その通りで大学での学びを自分のものにする方法は百人百様で、手本はないのです。自ら考え、整理するとともに、教授陣の指導を経て、自分で答えを見つけて下さい。大学での学びは、粘り強い能動的な努力で自らの能力を深めていく以外方法はありません。「一意専心」。他の事に心を動かされず、ひたすら臨床工学という学問に心を集中してください。
これから始まる大学生活が決して安易な道ではないことを自覚し、「いのちのエンジニア」として医療に貢献する道は舗装道路として諸君の前に開かれているのではなく、自らの手で切り開くのだ、という決意が必須です。幸い本学は、マンモス大学とは異なり、臨床工学を専門とする教授陣を揃え、皆さん一人ひとりにきめ細かな指導を心がけているという特徴を持っています。本学の教授陣を信頼し、諸施設、諸設備、大学図書館を存分に活用してくれることを願っています。本学の教職員は一丸となって皆さんを導き支えていくことをここに約束します。スタートラインに並んだ新入生の皆さんが、四年後には誰一人欠けることなく、いのちの尊厳を理解した豊かな人間性と倫理性を備え、知的探究心に溢れた新しい時代の医療機器のスペシャリスト「いのちのエンジニア」として活躍できる学士力を養うという本学のデュプローマポリシーを達成し、全員が見事に自らの希望を実現され、広く活躍の場に巣立って行かれることを信じて、学長式辞とします。
入学おめでとう。
令和七年四月五日
滋慶医療科学大学
学長 千原國宏
本日、無事に卒業式を迎えられたみなさん、おめでとうございます。みなさんの努力と成長は、私たち教職員の大きな誇りです。みなさんに心よりお祝いを申しあげるとともに、支えてくれたご家族の方々にも感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
想えば四年前、設立直後の本学の第一回入学式において、滋慶学園グループの教育理念「高い専門性と職業実践能力、豊かな人間性、そして国際社会に通用する能力の涵養」を目標にしっかりと学び、広く社会で活躍し続けられる学士力を備えた「いのちのエンジニア」として、新時代の医工連携やグローバルな医療の発展に貢献する人材に成長することを期待している旨を伝えました。その後、全世界を覆った新型コロナウイルス感染症のため、授業はオンラインが中心となり、学生生活もさまざまに制限され、みなさんも多くの戸惑いと不安を感じたことでしょう。しかし、ここに、第一期生のみなさんが、不断の努力により、厳しい事態を仲間と共に乗り越え、医療機器に関する知識や技術の高度化・複雑化が進んだ現代のチーム医療を支える新しい時代の「いのちのエンジニア」を目指すべく実践的な学び、変化に対応できる学び、持続的な生涯の学び、という三つの学びによっていのちを救う知識と技術を修得し、本学設立の意義を深いものにして、晴れて卒業の日をむかえ、新たな一歩を踏み出されたことを本当にうれしく思います。国家試験も終えたいまは、「待てば海路の日和あり」また「果報は寝て待て」といわれるように、良いことが起こるのを焦らずにじっくりと待っていようではありませんか。人としてやるべきことをすべて尽くした上は、まさに、「人事を尽くして天命を待つという」という澄み切った気持ちで吉報を楽しみに待っていましょう。
さて、人生百年時代と言われますが、長い人生を意義深いものとするためには、好奇心を持ち続け、常に新しく学び、探究を深めていくことが、ますます大事になってきています。みなさんが新たな挑戦へと踏み出そうとしている、いま、自ら学び続けることの大切さについて、お話したいと思います。重要なことは、学ぶ目的であり、目指すべき理想であり、倫理観です。テクノロジーはツールであり、その使い方も方向性も私たち人間の手に委ねられています。生成AIは質問すれば即座に回答してくれますが、学習したビッグデータと入力された文字情報をもとに計算を実行しただけですから、人間から見ると偏見や誤解を含み、誤った断定が出力として返ってくる可能性もあります。だからこそ、私たちの批判的思考と注意深い判断が必要不可欠です。未来を形作るのは、AIのようなテクノロジーそのものではなく、それを使う私たちのビジョンであり、倫理であり、意志であることを忘れないでください。倫理的かつ責任ある使い方を心がけるとともに、テクノロジーのポジティブな可能性を最大限に引き出して、人間性を豊かにし、社会の発展に寄与していく方法を探究し続けなければなりません。新しいテクノロジーとのつきあい方を多角的に考え続けることこそが、良い未来を形作る力になります。
本学を巣立ち、揚々たる世界に踏み出していくみなさんに、月並みではありますが、私が信条としている三つの言葉を送ります。一つ目は、「時に学びてこれを習う」です。学んだことを、時に応じて反復し、理解を深める、これが学ぶ目的なのです。ロシアの劇作家アントン・チェーホフも「知識は、実践されないと価値がない。」といっていますが、実践するために学ぶということを忘れないでください。二つ目は、「学べば則ち固ならず」です。学問をすると、自分の考えだけに凝り固まることがなくなり、視野を広げるのに役立つという、学問の効用を述べたことばです。アール・ナイチンゲールも「五年間にわたって一日に一時間同じことに時間を費やせば、その道の専門家になれる」というってます。毎日学び続けることが自分の頑固さを打ち破ってくれて柔軟な人間となって若さを保てる秘訣なのです。三つ目は、「和して同ぜず」です。協調はしていくが、決してむやみに同調しないということで、人とのなごやかな人間関係には心掛け、その場かぎりに無責任に賛成したりしないという意味です。往年のラグビーの名センターフォワード平尾 誠二氏の「スポーツに自己犠牲などありえないと思う。自己を生かすことがチームを生かすことなのだ。自己犠牲の精神が大切と言われることがありますが、本当にそうでしょうか。チームのために自分ができることを精一杯考えた結果、自分が本当にやりたかったことと違うことをしなければならない時もあるかもしれません。しかし、それは自己犠牲ではなく、チームのために自分を最大限に生かしているということなのです」といっています。自分がなすべき仕事を理解してしっかりと実践することがチーム医療の基本です。熟練という技のみを誇るのではなく、協調性の真の意味を理解し、臨床工学技士としてのビジョンと倫理観を養い続けることが学びの意義であることを忘れないでください。
最後に、みなさんが、緒方洪庵先生が開かれた蘭学塾「適塾」を通じて、近代科学の発展と普及に大きく貢献された先駆者たちを輩出した学問の都、大阪の地で、いのちの尊厳を理解し、豊かな人間性と倫理性を兼ね備えた、医学と工学のスペシャリスト「いのちのエンジニア」を目指されたことは非常に意義深いものがあると信じています。滋慶医療科学大学の第一期生であるという自覚をもって、「いのちのエンジニア」として自立し、医療機関や医療機器企業において貴重な戦力となるよう「一心に学び続けてくれること」だけを教職員一同強く希望しています。
卒業おめでとう。
令和七年三月八日
滋慶医療科学大学
学長 千原國宏
新入生の皆さん、入学おめでとう。教職員とともに、皆さんの入学を心よりお祝いするとともに、医療科学を学ぶことによって医療の発展に貢献したいという強い使命感を持って入学されたことに、敬意を表します。また、愛情をもってあなた方の努力を支えてこられたご家族、関係する方々に、あらためて心よりお祝い申しあげます。皆さんには、これまで支えてくれた人々に対する感謝の念を忘れずに、真面目に学んでいただきたいと願っています。
本日、第四期生として迎えた二十九名の新入生の皆さんに、伝えておきたいことが三つあります。
第一は、本学の概要です。本学の設立母体である大阪滋慶学園は、「職業人教育を通じて社会に貢献する」をミッションに、「実学教育」「人間教育」「国際教育」をビジョンに掲げ、「医療」「福祉」「ヘルステック」を三つの輪とする教育分野の充実を図ってきました。まず、二千十一年にリカレント教育の魁となった大学院大学を開学し、二千二十一年に「デジタル・トランスフォーメーションによる技術革新が確実に進展している医療分野の将来を見据えて医療科学部を設置しました。加えて、本年四月には、未来医療国際拠点「中之島クロス」に最先端の研究拠点「教育・研究センター」を開設し、「学」の立場から未来医療関連の研究を推進し社会に貢献しようという常に未来を見据えた医療科学大学です。新入生の皆さんの不断の努力により、本学で学ぶ意義を深いものにして、世界を意識した広い視野を持った人間として成長し、本学の評価を高めてください。
第二は、皆さんの学生としての役割です。今日から皆さんは、チーム医療を支える新しい時代の医療機器のスペシャリストである「いのちのエンジニア」に必要な医療科学分野の多様化した知識と技術を、医学と工学の基礎、臨床工学や臨床実習といった「臨床工学技士」国家試験受験資格を取得する学び、医療機器メーカーでの「企業実習」などの実践的な学び、情報処理工学やデータサイエンスなど変化対応力を身につける関連分野の学び、と無理なく学習が進むように学びのフローを整備しています。ただ、高校までの学びは、教科書に沿った先生の話を聞き、問題の解き方を学ぶという与えられた内容だけを覚えることが強いられる学習、いわゆる「励む」ことや「無理強いする」ことが求められる「勉強」だったと思いますが、大学での学びは、講義の中で自ら課題を発見してその答えを追求する主体的な学習、いわゆる「学びたい」という自主性を重視した「問いを学ぶ」という意味の「学問」に変わります。いまある状況の中での違和感や何らかのギャップ、足りていないことやプラスできるもの、新しい価値を創るための仮説の立て方や、そこに至るまでの情報収集や分析方法を体系的に学ぶ能力を養います。具体的には、講義で得た知識を自分で「深堀り」していく必要があります。まず、講義中に掴んだ「好奇心の入口」や「思考の入口」を糸口として、自主的に調べる習慣を身につけて下さい。調べる力を養う上で最も役に立つのが大学の図書館です。つぎに、国家試験という同じ目標に向かって勉強している友達と「切磋琢磨」して過去問を学ぶ習慣をつけて下さい。誰かと一緒に学ぶ楽しさを見つけることは大学生活のメリットのひとつでしょう。さらに、疑問が生じた時には、講義が終わったあと、教授に質問をしに行って下さい。専門の教授によって行われる九十分間の講義は、内容も高度で、情報量も多く、自分で調べなければ十分に理解できないことも多くなるのは当然です。確かに、「学問のプロ」であるために少し近寄りがたいと感じるかもしれませんが、遠慮する必要はありません。大学教授はみな、その学問が大好きで仕方がない人たちばかりですから、質問をしにいくと、喜んで答えてくれます。なお、焦りを解消するためには、目標を紙に書き出して自己分析するのもいいでしょう。頭の中を整理し、焦りを和らげることができます。目標を達成した場合に得られるメリットや目標達成の先に待つワクワクする未来を鮮明にイメージすることは、努力を持続するための燃料になります。有名な女優である岩下志麻さんは、後輩にセリフを忘れないようにする秘訣を聞かれた時、「私はいつも台本を百回声を出して読んでいますよ」と答えられています。まさに「読書百遍」なのです。自由と責任を自覚して、自分の頭で考えることを忘れず、「学業は自己責任で推進する」という覚悟をもって、学びの道に「一心不乱」に挑戦してください。
第三は、ここ大阪の地は、緒方洪庵先生が開かれた蘭学塾、適塾において学問修行に努め、物事のすべてに通じる理解力と判断力の修得にチャレンジした福澤諭吉や大村益次郎をはじめとする多くの名士を輩出した学問の都であるということです。また、今日四月六日は今を遡る約百十五年前の千九百九年にアメリカ海軍の軍人ロバート・ピアリーが、世界で初めて北極点に到達した日、北極の日です。今では地球温暖化の象徴としての北極の氷が話題になっていますが、約一世紀前には、多くの挑戦者たちが未踏の地である北極点を目指し失敗を繰り返し、ピアリー自身も六度目のチャレンジでの達成でした。スタートラインに並んだ新入生の皆さんも、本学の教員陣、諸施設、諸設備、特に大学ならではの整備された図書館の蔵書を存分に活用して、諦めずに「一心不乱」に「読書百遍」の学びにチャレンジし、充実した学生生活をエンジョイするとともに、滋慶医療科学大学を新大阪に開学した意義を一層深めるよう精進して下さい。
いのちの尊厳を理解した豊かな人間性と倫理性を備え、知的探究心に溢れた新しい時代の医療機器のスペシャリストである臨床工学技士「いのちのエンジニア」として、企業や病院で活躍を続けられる学士力を養うという本学のゴールを達成してくれることを願って学長式辞といたします。
入学、おめでとう。
令和六年四月六日
滋慶医療科学大学
学長 千原國宏
本日、滋慶医療科学大学医療科学部に入学された第三期生二十二名の皆さん、ご入学おめでとうございます。本学の教職員とともに、皆さんの入学を心よりお祝い申し上げます。日本人の約四分の一強が感染したといわれている新型コロナウィルス感染症の拡大という厳しい社会情勢の中で、時代と社会のニーズに応える「いのちのエンジニア」として活躍しようという強い使命感を持って入学されました皆さんに、深く敬意を表します。また、愛情をもってあなた方の努力を支えてこられたご家族、関係する方々に、あらためて心よりお祝い申しあげます。皆さんには、これまで支えてくれた人々に対する感謝の念を忘れずに、真面目に学んでいただきたいと願っています。
本学は、大阪滋慶学園の三つの建学理念「実学教育」「人間教育」「国際教育」に基づいて、「いのちを救うため、最新のサイエンスとテクノロジーのフロンティアをゆけ」という理念を掲げ、「科学技術に支えられた医療技術の進歩が人間の生命の存在状態を進化させる」という視点に立って、令和三年四月に創設された新しい大学です。いうまでもなく本学設立の目的は、広い知識と深い学芸を教育研究することにより、ダ・ビンチをはじめとするロボット技術による手術や治療、AI による画像認識技術を応用した医療診断システムなど、デジタル・トランスフォーメーションによる技術革新が確実に進展している医療分野において、課題解決力や変化対応力を備えた国際性が豊かな「いのちのエンジニア」を養成することです。本学園は、既に、本学大学院をはじめ専門学校十一校と高等学校を設置し、医療科学分野で活躍している優秀な人材を多数輩出してきたという伝統を持っています。新入生の皆さんの不断の努力により、本学で学ぶ意義を深いものにして、世界を意識した広い視野を持った人間として成長し、本学の評価を高めていってほしいと思います。
今日から皆さんは、医療機器に関する知識や操作技術の高度化・複雑化が進んだ現代のチーム医療を支える新しい時代の医療機器のスペシャリストである臨床工学技士、いわゆる「いのちのエンジニア」に必要な医療科学分野の多様化した知識と技術を、真面目に学ぶことが求められています。本学では、医療現場で豊富な経験を積んだ臨床工学技士や医療機器メーカーで機器開発に取り組んだエンジニアなど各業界の最前線で活躍してきた教員や博士の学位を持って学会で活躍してきた教員など、実践力はもとより研究力にも優れた多様な教授陣を備えて、医学と工学の基礎、臨床工学や臨床実習といった「臨床工学技士国家試験受験資格を取得する学び」、医療機器メーカーでの企業実習などの「実践的な学び」、情報処理工学やデータサイエンスなど変化対応力を身につける「関連分野の学び」、とカリキュラムポリシーに沿った学習が無理なく進むように学びのフローを整備しています。ただ、大学での学びには、アクティブで粘り強い努力が必要です。「自由と責任を自覚して、自分の頭で考える」ことを忘れず、「学業は自己責任で推進する」という覚悟をもって、学びの道に真剣に挑戦してください。「間違いを犯したことのない人とは,何も新しいことをしていない人だ」というアルベルト・アインシュタインの言葉は、挑戦することの大切さを教えてくれています。また、「もしそれがよい考えなら、思い切ってそれをしなさい。許可をもらうよりも、謝るほうが簡単だから。」というグレース・ホッパーの言葉もあります。彼女は、計算機ではなく人間に近い言葉でプログラムをする最も初期の計算機言語COBOLを開発した計算機科学者で,1934年にイエール大学において女性としてはじめて数学の博士号を取得したアメリカ海軍の軍人です。さらに、アニメの声優、福山潤さんの「自分の限界を決めずにチャレンジせよ」という言葉もあります。既に、皆さんの先輩である一期生や二期生も限界に挑戦し、乗り越えるべく奮闘中です。「一念通天」。どんなことでも、ひたすら信じて念じ続ければ、必ず天に通じて、成し遂げられるという格言です。闇雲に突き進む行動力ではなく、明快な目的、着実な計画、論理的思考で物事を遂行する実践力を身につけてください。「切磋琢磨」。同じ道を歩む同級生や先輩また後輩など、お互い不確かなところを学び学習しあって、学問や人徳をよりいっそう磨き上げたり、友人同士が互いに励まし合い競争し合ったり、共に向上するという意味の格言です。「一意専心」。他の事に心を動かされず、ひたすら一つの事に気持ちを集中することも大切です。「いのちのエンジニア」に挑戦するという強い心で入学された皆さんが、一念通天の実践力、切磋琢磨の人間力、一意専心の集中力を持って、本学の教員陣を信頼し、迷うことなく学びの道に勤しみ、充実した学生生活を楽しんでくれることを願っています。
本日、スタートラインに並んだ新入生の皆さんが、本学の教員陣、諸施設、諸設備、特に大学ならではの整備された図書館の蔵書を存分に活用して真剣に学びに励むことが、専門知識に基づいた臨床工学技士の鋭い視点を磨くことになり、病院の医療現場のニーズを企業の医療機器開発にフィードバックして未来の医療機器開発のトリガーになると考えています。いのちの尊厳を理解した豊かな人間性と倫理性を備え、知識力・探究力・実践力を磨き上げ、高度化・複雑化が進んだ現代のチーム医療を支える創造力を備えた新しい時代の医療機器のスペシャリストである臨床工学技士「いのちのエンジニア」に成長し、グローバルな医療の世界で活躍してくれる日が来ることを楽しみにしています。
入学、おめでとうございます。
令和五年四月八日
滋慶医療科学大学
学長 千原國宏
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、皆さんの努力を支えてこられたご家族や関係する方々に、あらためて心よりお祝い申しあげます。 新型コロナウィルス感染症のパンデミックに対処しながらの受験生活は厳しいものがあったでしょう。このような社会情勢の中で、「いのちのエンジニア」として医療の世界で活躍しようという強い意志を持って入学されたことに、敬意を表します。 近年、医療科学の分野では加速度的に技術革新が進んでいます。ダ・ビンチをはじめとするロボット技術による手術や治療、AI による画像認識技術を応用した医療診断システムなどはその一例です。先進医療でも、地域医療の現場でも、既に医療のデジタル変革は着実に浸透しています。このような社会的情勢に応えるため、学校法人大阪滋慶学園は長年の臨床工学教育のノウハウや実績を踏まえて滋慶医療科学大学を設立しました。本日、第二期生として入学された二十名の皆さんは、協働力や思考力・判断力・表現力など、本学で学ぶ上で相応しい知識と技能を備えています。今後四年間、医療と工学のみならず、情報学やデータサイエンスなどの関連分野の知識と技術を真面目に学んで下さい。本学は、カリキュラムポリシーに則った無理のない学びのフローと充実した教育環境を整備しています。教員陣を信頼し、迷うことなく学びの道に勤しむとともに、互いに切磋琢磨することにより、充実した学生生活を楽しんで下さい。医療機器の高度化・複雑化が進んだ現代のチーム医療を支える新しい時代の医療機器のスペシャリストである臨床工学技士を目指してください。また、「課題解決力」「変化対応力」「生涯学習力」を備えた学士力を身につけることも大切です。皆さんが、国家資格を手にした工学士として時代に即した「いのちのエンジニア」に成長してくれることを楽しみにしています。 ただ、皆さんは今までと違う環境のなかで、暫くは毎日を新鮮な気分で過ごされることでしょう。しかし、そんな楽しい日は束の間のことで、半月もすれば環境に馴れて、当初のフレッシュな気分も弛んで、生活がマンネリ化することもあるでしょう。そんな時、「一心不乱」という四字熟語を思い出してください。言うまでもなく、一つのことに心が集中していて、他のことに心を奪われないことを意味しています。一心不乱の由来は仏道に精進して悟りをひらき、多くの人を救う為に研鑽を重ねる覚悟や思いを込める仏教の言葉です。しかし、現在では、目標や目的に向かって、必死に頑張っている姿やなにかに打ち込んでいる人に対して使われる言葉です。やはり人間、熱中している人、頑張っている姿は非常に魅力的です。実は、人間には実はそれほど能力差はありません。どういった気持ちや意志を持って物事に取り組んでいるのか、その差が結果には大きく関係します。大学生となった皆さんがこの入学式の会場に坐っている姿はみんな同じです。しかし、「これからしっかり専門の知識を身に付けて、卒業の暁には立派ないのちのエンジニアとして活躍するのだ」、という明確な目的意識と意欲がしっかりしている人と、入学の動機が曖昧なままそこに坐っている人とでは、もうはっきりと大学生活の成果が決定されてしまっているのです。カントも説いているように、受動的に行動して「偶然の成果」を追うのではなく、自分はどうしてもこれがやりたいのだという「必然的要求」を持って事に当たることが大切なのです。同時に、これまで支えていただいた人々に対する感謝の念も忘れないようにすることも重要です。いのちの尊厳を理解した豊かな人間性と倫理性を備えた「いのちのエンジニア」に必要な知識や技術を着実に習得して下さい。 最後に、卒業後も社会で活躍を続けられる知的探究心に溢れた学士力を養うために、ただただ真面目に学んでくれることを願って、お祝いの言葉を結ぶことにします。 ご入学おめでとうございます。
令和四年四月二日
滋慶医療科学大学
学長 千原國宏
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。新型コロナウィルス感染症の拡大に対処しながらの受験という厳しい社会情勢の中で、日頃の学習の成果を発揮し、時代と社会のニーズに応える「いのちのエンジニア」として活躍しようという強い使命感を持って入学されましたことに、敬意を表します。また、愛情をもってあなた方の努力を支えてこられたご家族、関係する方々に、あらためて心よりお祝い申しあげます。皆さんは、これまで支えてくれた人々に対する感謝の念を忘れずに、真面目に学んでいただきたいと願っています。
本日、滋慶医療科学大学の第一期生として迎えた十四名の新入生の皆さんに、伝えておきたいことが三つあります。
第一は、本年四月にスタートしたばかりの本学の概要です。近年、医療工学の分野では加速度的に技術革新が進み、ダ・ビンチをはじめとするロボット技術による手術や治療、AI による画像認識技術を応用した医療診断システムなど、先進医療でも、地域医療の現場でも、既に医療の変革は始まっています。超高齢社会になりつつある現代においては、医療や介護に携わる人材の増加も求められています。このような社会的情勢やニーズに応えるため、学校法人大阪滋慶学園が、姉妹校の大阪ハイテクノロジー専門学校で臨床工学技士を養成してきた三十一年間の臨床工学教育のノウハウや実績を踏まえて大学を設立いたしました。高度で複雑化していく医療現場や社会において活躍が期待される臨床工学技士として、「課題解決力」「変化対応力」「生涯学習力」を備えた、時代に即した学士を育成することが目的です。教員はもとより新入生の皆さんの不断の努力により、世界を意識した広い視野を持って、本学設立の意義を深いものにしていただきたいと思います。
第二は、皆さんの学生としての役割です。皆さんは、協働力や思考力・判断力・表現力など学修に必要な基礎学力を備え、本学に相応しい学生として入学されました。今日から皆さんは、医療機器に関する知識や技術の高度化・複雑化が進んだ現代のチーム医療を支える新しい時代の医療機器のスペシャリストである臨床工学技士、いわゆる「いのちのエンジニア」を目指してください。そのためには、医療と工学のみならず、関連分野の多様化した知識と技術を、真面目に学ぶことが必要です。本学は、「臨床工学技士」国家試験受験資格を取得する学び、医療機器メーカーでの「企業実習」などの実践的な学び、情報処理工学やデータサイエンスなど変化対応力を身につける関連分野の学び、医療現場で豊富な経験を積んだ臨床工学技士や医療機器メーカーで機器開発に取り組んだエンジニアなど各業界の最前線で活躍してきた教員や博士の学位を持って学会で活躍してきた教員など、実践力はもとより研究力にも優れた多様な教員陣を通じての学び、という特徴を持った四つの学びをベースとしたカリキュラムと無理のない学びのフローを整備しているので、充実した教育環境でいのちを救う知識と技術を学ぶことができます。ただ、大学での学びは、アクティブで粘り強い努力で知識を深めていく必要があります。「読書百遍義自ずから見る」。どんなに難しい書物であっても、繰り返し読むうちに自然と意味が解ってくるという格言です。しかし、闇雲に多くの本を乱読するのではなく、良い書物を熟読することに意味があることに留意してください。教科書、教員が薦める参考書、本学の図書館に備えている蔵書などを活用して学びに徹することが重要です。また、学びの道には、「教うるは学ぶの半ば」という格言もあります。人に教えるには、自分も十分勉強しなければならず、不確かなところを学び直したり、自分の知識を深めたりすることに繋がるという意味です。「一意専心」。他の事に心を動かされず、ひたすら臨床工学という学問に気持ちを集中してください。皆さんが、教員陣を信頼し、迷うことなく学びの道に勤しむとともに、互いに切磋琢磨することにより、充実した学生生活を楽しんでくれることを願っています。
第三は、皆さんがこの大阪の地で学ぶ意義です。大阪は、緒方洪庵先生が開かれた蘭学塾、適塾を通じて、長与専斎や福沢諭吉など、近代科学の発展と普及に大きく貢献された先駆者たちを輩出した学問の都です。その由緒ある地で、いのちの尊厳を理解し、豊かな人間性と倫理性を兼ね備えた、医学と工学のスペシャリスト「いのちのエンジニア」を目指すことは意義深いものがあると考えます。本日、決意を新たにした新入生の皆さんには、本学の教員陣、諸施設、諸設備を存分に活用して学びに励み、臨床工学技士の資格を持った学士、「いのちのエンジニア」として自立し、ここ大阪の地で、医療機関や医療機器開発メーカーにおいて貴重な戦力となる自覚をもって精進してください。
新入生の皆さんは、滋慶学園グループの教育理念「高い専門性と職業実践能力、豊かな人間性、そして国際社会に通用する能力の涵養」を目標にしっかりと学び、卒業後も、広く社会で活躍し続けられる学士力を備えた「いのちのエンジニア」として、新時代の医工連携やグローバルな医療の発展に貢献してくれる日が来ると信じて、お祝いの言葉を結ぶことにします。
ご入学おめでとうございます。
令和三年四月四日
滋慶医療科学大学
学長 千原國宏