滋慶医療科学大学では、1年次から「ゼミ学修」が始まります。
4年間の大学での学修・研究活動を円滑かつ効果的に行い、より良い成果を得るための知識やスキルを修得します。レポートや論文作成はもちろん、ディスカッションやプレゼンテーションも行います。
ゼミ学修を通して、自主的・能動的な学修態度、論理的・批判的な思考などを培い、課題解決力や生涯学習力の基礎を養います。
今回は、2年次の「専門ゼミ」の様子を紹介します。
2年次の専門ゼミは、専任教員が担当し、医用工学系、医学・医療機器系にそれぞれ分かれ、課題となる調査テーマの設定や、それに即した調査・検討、教員や他の学生との主体的な意見交換、成果の取りまとめ等を通じて、課題解決力に通じる能力を修得することを目的としています。
先日の専門ゼミでは「富士フイルム和光純薬株式会社 臨床検査薬事業部」の方にお越し頂き、学内で検査実習を行いました。こちらの会社は、多くの分野に渡り臨床検査機器・試薬を販売している会社です。
以前に企業見学の様子をご紹介しました「富士フイルムヘルスケアマニュファクチャリング株式会社 三重事業所」は、富士フイルム和光純薬の関連会社になります。
今回は医療機器「LIMUSAVE MT-7500(リムセイブ)」を用いて検査実習として、(1→3)-β-D-グルカン、エンドトキシンの2項目同時測定を行いました。
エンドトキシンとは、グラム陰性菌(大腸菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌など)の細胞壁を構成しているリポ多糖(リポポリサッカライド)のことで、日本語では内毒素と呼ばれています。
エンドトキシンを除去、または失活させるのは大変困難で、250度以上の高温で30分以上の加熱が必要となります。
エンドトキシンはグラム陰性菌がいる場所には常に存在しており、例えば私達が普段口にする食べ物や飲み物の中にもエンドトキシンが含まれています。
調理によってグラム陰性菌が死滅しても、エンドトキシンは250度以上の高温で30分以上の加熱が必要なので、完全に除去出来ません。しかし、食べ物に含まれるエンドトキシンは、体の健康状態や摂取した量にもよりますが、体の胃や小腸、大腸などで、有害な菌や物質などが体の中へ入らないよう防御しています。
これをバリア機能と言います。
このバリア機能により、体内へはほとんど吸収されず、また、吸収された場合でも少量であれば肝臓で分解され、無毒化されると言われています。
一方、傷口などから、体内に直接エンドトキシンが大量に入り込むと、全身に感染が広がり、様々な症状が出る敗血症などを引き起こしてしまい、最悪は死に至ります。
その為、体内に直接装着する医療機器や、注入する医薬品などは、エンドトキシンが含まれないことが必要になります。
まず始めに、LIMUSAVE(リムセイブ)の各部分の名称、使い方、測定方法等の話を聞いた後、実際に測定を開始しました。
手順を確認しながら、着実に検査を進めていく学生達。真剣なまなざしで実習に取り組んでいました。
今回の実習を通して、学生達は、「攪拌(かくはん)や試験管に入れる行程が楽しかった」「医療安全について深く学べた」というような感想を口にしていました。
医療機器を取り扱う臨床工学技士にとって、微生物汚染、或いは患者様の微生物感染は日々直面する極めて重要な問題です。
医療機器の取り扱いはもちもん、こうした様々な知識も身に付け、国家試験や学外実習にも活かしていきましょう。
末筆ながら、富士フイルム和光純薬株式会社の皆さん、ご多忙の中、素晴らしい実習をありがとうございました。