臨床工学技士は病院内の様々な部署で活躍しています。
今回はその中から、特に臨床工学技士が深く関わる「人工透析治療」と、そこで用いられる「超音波装置」について説明します。
1. 腎臓って何をしているの?
まず、腎臓の働きを知っておきましょう。腎臓は、次のような働きをしています。
尿を作る: 体の中の老廃物を外に出します。
体のバランスを保つ: 水分や塩分の量を調整します。
血圧を管理する: 血圧が高くなりすぎないようにします。
血液を作るのを助ける: 赤血球を作るのをサポートします。
ビタミンDを活性化する: 骨を丈夫にするために必要なビタミンDを体内で活性化します。
しかし、腎臓がうまく働かなくなると「腎不全」になり、次のような問題が起こります。
老廃物がたまる: 体がだるくなったり、気分が悪くなったりします。
体に水がたまる: 足がむくんだり、息苦しくなったりします。
血液が酸性になる: 体がだるくなったり、呼吸が速くなったりします。
心臓に負担がかかる: 心臓の機能が悪くなり、血液を送りだしにくくなります。
骨が弱くなる: 骨折しやすくなります。
2. 透析治療とは?
腎不全になると、腎臓が老廃物や余分な水分を体外に排出できなくなるので、これを補うために「人工透析」を行います。
その中の血液透析という治療では、体の血液を人工の心臓(ダイアライザ―)でろ過して、きれいにします。
この治療は週に3回、1回4時間ほどかけて行います。
3. 超音波装置って何?
超音波装置は、音を使って体の中を見ることができる機械です。
この装置を使うと、皮膚の下にある血管や臓器を見ることができます。
痛みもなく、体に害を与えることもありません。
4. 臨床工学技士と超音波装置
透析治療では、臨床工学技士が超音波装置を使って患者さんの血管を検査します。
また、透析に必要な穿刺(せんし)にも使います。
血管を見つける: 透析のために血液を取り出すための穿刺をするとき、まずは血管を見つけます。超音波装置を使えば、深いところにある血管でも簡単に見つけられます。
針を正確に刺す: 超音波で確認しながら、血液を取り出すための針を正確に刺します。
血液の流れを測る: 血管を流れる血液の量を測って、血液の流れに滞りがないかをチェックします。
血管の狭い部分を探す:治療が必要かを判断するために、 血管が狭くなっている部分を見つけます。
先日のオープンキャンパスでは、滋慶医療科学大学講師の田中先生が超音波装置を使った体験実習をおこないました。
臨床工学技士は他にも人工心肺装置や人工呼吸器、ペースメーカなど、様々な医療機器に関わる医療系国家資格です。
滋慶医療科学大学では様々な医療機器を使った体験実習をおこなっていますので、興味のある高校生の方はぜひオープンキャンパスにご参加くださいね!
【監修・資料提供】
田中 智之
滋慶医療科学大学 講師
博士(応用情報科学)/臨床工学技士/臨床ME専門認定士/医療情報技師