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医療の安全安心を目指して~医療機器による漏電事故を防ぐために~

2023.9.13

コラム

滋慶医療科学大学 教授の辻本です。

計測工学やセンサ工学が専門で、科目としては医用電子工学や各種ゼミ、卒業研究を担当しています。

今回は、私自身、そして辻本ゼミで研究していることをご紹介します。


現在の医療現場では、多くの電子機器のサポートにより治療が行われています。

それらの電子機器が安全に、完璧に動作することが求められています。

もしそれらの電子機器が誤動作をするなどがあれば重大な事故につながります。

しかしながら、時には機器の老朽化などにより不具合が生じます。

あまり馴染みのない不具合の一つに電流が漏れることがたまに起こります。漏電(ろうでん)と言います。

頻繁に起こることではないのですが、電流が人体を流れると時には死に至ることもあります。

ここでは電気・電子工学の立場から漏電を検知し、医療現場の安全安心をより高めることを目指した製品開発、漏電センサの開発について述べたいと思います。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/lvd/lvcb/pmerit/elcb/index.html
図1 感電,漏電の危険性

この図のように住宅などでの漏電の場合は火災などが最も大きな災害となります。

皆さんのご自宅には必ず漏電検出器が設置されており、火災などからご自宅を守っています。

医療の現場では建物に電流が漏れる場合のほか、人体に電流が流れる場合(感電)があり、非常に小さな電流でも人体でも深刻な影響が出てきます。

住宅漏電の場合の100 分の1、1000 分の1 の電流でも時により死に至ることがあり、微少電流を検出することが重要です。

ところが、一般に微少な電流の検出には高度な技術を要し高価な検出器が必要です。

図2 滋慶医療科学大学 模擬手術室

この写真のように昨今の手術室には多くの電子機器が設置されていることがわかります。

手術室には高価な漏電検出器が設置され、全ての機器がそれに接続されています。

しかしながら電子機器の一つが漏電を起こしてもどの機器が漏電しているのかを見つけることはできません。

どの機器が漏電しているかを調べるには一つ一つ機器を電源タップから切り離し調べる必要があり時間がかかり、時には手術を中断せざるを得ないかもしれません。

ここでそれぞれの機器に漏電検出器を設けることが望まれますが、現状では微少の電流を測定する漏電検出器は高価でできません。

一つ一つの電子機器に高機能、安価な漏電検出器があれば患者の立場からすると安心して手術等の治療を受けられます。

つまり、高機能、小型、安価な漏電検出器の開発が期待されます。


少し専門的になりますが、漏電電流には感電や火事に直接影響する電流全く影響しない電流の2種類があります。

大事なことは感電や火事に直接影響する電流を検出することですが、漏電電流には2種類の電流が混ざっています。

さらに厄介なことにノイズも混ざっており、検出したい電流の大きさよりノイズの方がかなり大きいです。

その中から人体に直接影響する電流だけを感度良く検出することが必要です。

この技術については既に私が見つけておきました。

次は高機能、小型、安価な漏電検出器の実現を滋慶医療科学大学でしたいと思っています。

最後に、これを読んでいる高校生の方や在学生のみなさんと一緒に研究できることを楽しみにしています。


辻本 浩章

滋慶医療科学大学 教授

工学博士(大阪大学)/名誉教授(大阪市立大学)/(株)SIRC 設立者・技術顧問