はじめに
スマートウォッチで心臓の動きを調べられる時代が来ているのを知っていますか?
最近注目されている「アップルウォッチ外来」(スマートウォッチ外来)は、まさに医療とデジタルが一緒になった新しい診療の形です。
この記事では、高校生の皆さんに向けて、アップルウォッチ外来の仕組みや可能性、そして臨床工学技士がどのように関わっていくのかについて紹介します。

ヘルスケアを充実させるための機能
アップルウォッチはただの時計ではなく、健康を見守る機能がたくさんついています。
- 心電図(ECG)アプリ:心臓のリズムを測定できる(日本でも医療機器として承認済み)
- 心拍数モニタリング:異常な心拍数を通知
- 睡眠のチェック:普段の体調を数値で見える化
つまり、自分の体のデータを“毎日”記録してくれる小さなお医者さんのような存在なのです。
(参考:Apple公式 Apple watch ヘルスケア)
アップルウォッチ外来とは?
「アップルウォッチ外来」とは、患者さんが記録したデータを診療に活かす外来のことです。
たとえば、不整脈(心臓のリズムの乱れ)は診察時に出ていないと見つけにくいですが、アップルウォッチで発作の瞬間を記録していれば、医師はそのデータをもとに判断できます。
すでに一部の病院では導入が始まっており、日常の生活データが医療現場で役立っています。
(参考:厚生中央病院、浦添総合病院)
メリットと課題
メリット
- 普段の生活データを診察に活かせる
- 発作時の記録を残せる
- 予防や早期発見につながる
課題
- 診断機器ではないので誤検出もある
- 大量のデータをどう扱うかは医療現場の課題
- 装着していないと記録が残らない
- 血液透析をされていたり、ペースメーカーを装着されている患者さんなどへの活用
便利な一方でまだ課題もありますが、課題を解決すればさらに活用できる、まさに未来の医療なのです。
臨床工学技士という仕事
こうしたヘルスケア分野の広がりに関わってくるのが、臨床工学技士です。
- 医療機器(人工心肺装置、透析装置など)の専門職
- 今後はウェアラブルデータと医療機器をつなぐ役割も期待される
- データ解析や機器の安全管理を行い、医師や看護師とチームで医療を支える
医療とデジタルが結びつく時代だからこそ、臨床工学技士はますます重要になっています。
滋慶医療科学大学の島崎拓則准教授はアップルウォッチを用いたヘルスケアの応用について研究しており、島崎ゼミの学生たちも日々研究を頑張っています!
10月19日(日)には「第5回日本腎・血液浄化AI学会学術集会・総会」、11月1日(土)には「アジア臨床工学フォーラム」で島崎ゼミの学生たちが、透析患者さんのためのアップルウォッチと人工知能を活用した研究成果を発表する予定です。
まとめ
- アップルウォッチには心電図など医療に役立つ機能がある
- アップルウォッチ外来では、そのデータを診療に活かせる
- 課題もあるが、未来の医療の大きな可能性を秘めている
- 臨床工学技士は、この分野で活躍できる専門職
医療とテクノロジーが一緒になる時代。
「人の健康を守りたい」「医療に関わりたい」と考えている高校生の皆さんにとって、臨床工学は未来を切り拓く学びの一つです。
【監修】
島崎 拓則
滋慶医療科学大学 准教授
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