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大学の「医用工学」では何を学ぶ?難易度や将来性も紹介

2024.11.5

コラム

レントゲンやエコーなどによって、人間の目には見えない骨や血液、臓器の状態まで見える化し、さらにレーザーなどで患部の治療までも担う医療機器は現代医療に欠かせません。その医療機器の進化を支えているのが「医用工学」。ものづくりや機械のメンテナンスといった工学の分野から医療現場への貢献を目指す方が必ず学ぶことになる学問です。
まだ学んだことがない方にとっては、「医用工学は難しそう」というイメージがあるかもしれません。しかし実は学ぶ内容はとても多彩で、医用工学の中でも苦手科目もあれば得意科目もある、という人が多い学問でもあります。
では、医用工学とはどんな学問で、どんな人が学ぶのに向いているのでしょうか。難易度や将来性も含めてご紹介します。


医用工学とは?身近な例で考えてみましょう

レントゲンやCT、MRI、心電図計、がん治療に用いられる温熱治療装置など、人体を計測したり治療したりする際にはたくさんの医療機器が活用されます。このような医療機器を開発するには、工学の知識だけでなく、医学の知識も求められます。これを同時に学ぶのが医用工学。つまり、医学と工学が合わさった学問です。
体温計を例に取ってみましょう。一昔前の体温計の主流は「水銀計」といって、ガラス管に水銀を封入し、熱によって膨張する水銀の特性を活かして体温を計測するものでした。測定する部位は、動脈が通っていて、体外からでも中心体温が得られやすい脇や舌の下。しかし、水銀系は計測時間が長く、割れた時も危険です。そこで電子体温計が考案されました。その後、計測時間もどんどん短縮し、今は数秒で体温を予測させることができるようになりました。この技術の進歩があるのは、まさに医学と工学の知識を融合させた医用工学のおかげと言えるでしょう。

・医用工学と医工学・医用生体工学との違い

医用工学と似た言葉で、「医工学」「医用生体工学」と呼ばれるものがあります。実は医用工学と医工学は呼び方が違うだけで、同じもの。医用生体工学とも厳密に区別されているわけではありませんが、医用生体工学は、医用工学の中でも組織や細胞、遺伝子などのバイオメディカルエンジニアリングに特化した分野の学問を指します。


大学で学ぶ医用工学の授業内容

医用工学は、医学と工学のどちらも学び、その知識を融合させることで習得を目指すものです。
1、2年次ではまず、基礎を学びます。工学の分野では、数学や物理、電気・電子工学、情報技術、計測のしくみなど。医学の分野では、生物学や生理学、脳・神経科学など。これらの基礎で土台を築いた上で、3、4年次では知識を医療現場に応用できるよう、心電図や脳波測定といった実際の医療機器の仕組みについて学びを深めていきます。

・滋慶医療科学大学で学べる医用工学

1年次は、医用電気工学、基礎数学、基礎物理学、基礎化学、基礎生物学などのカリキュラムを通して電気や電子、情報など工学の基礎知識と、人体の構造や生物などの医学の基礎知識をそれぞれ学びます。
2年次からは生体計測装置を通して医用工学の基礎を学ぶ「生体計測装置学」という授業があり、実習では脳波計や心電図などの設計・作製も行います。3年次、4年次になると病院で実際に使われているペースメーカーや電子メスなどの治療器について実践的に学習します。医療の現場や開発の現場で活躍できるスキルを身につけていきます。


医用工学を学ぶことで取得できる資格

・臨床工学技士

国家資格の一つです。これを取得することで、医療スタッフとして、病院やクリニック内で人工心肺装置や人工呼吸器、血液透析装置などの医療機器の操作や保守・点検を行うことができるようになります。臨床工学技士として、医療機器メーカーとの共同開発に携わることも可能です。

・第二種ME(メディカルエンジニアリング)技術者

医療機器の安全管理や操作に関する知識の理解度を確認する検定試験で、合格者には日本生体医工学会から合格証明書が交付されます。一般的に臨床工学技士の国家試験を受ける前に取得するもので、大学2年生で取得する人が多いものの、なかには1年次から取得を目指すツワモノもいます。

・心電図検定

心臓の病気に欠かせない心電図を、正しく判読する技術を検定するものです。マイスター、1〜4級があり、4級は心電図の読影を学び始めた大学生から取得を目指すことができます。

・医療情報技師能力検定試験

「医療情報を安全かつ適切に管理・活用・提供」するために必要な知識・技術があることを評価する試験です。将来、医療現場で働くことを目指すなら取得しておくことをおすすめします。検定試験は、一般社団法人日本医療情報学会が実施しています。

・電気工事士

一般的に電気設備の工事に携わる方が取得する資格ですが、臨床工学技士も医療機器のメンテナンスを行うため、取得することで電気の知識が深まり業務にも役立ちます。


医用工学を学ぶことに向いている人の特徴は?難易度もご紹介

「なぜ?」と疑問を持てる好奇心や、その疑問を究明しようとする行動力のある人が向いています。勉強だけではなく、日常生活の中でも探究心を持って考えることが大切です。例えば「Apple watchで心拍数を計測できるのはなぜ?」「枕元に置くだけで、どうして睡眠を分析できるのだろう?」と疑問を持ったことはありませんか?その疑問を自ら調べる好奇心と行動力のある人なら、知識や技術をどんどん高めていくことができます。
医用工学の分野は日進月歩で進化しています。その流れに身を任せるだけでなく「こうすればもっと良くなるのでは?」と常に前進しようとする気持ちが、医療を大きく発展させるのです。

・医用工学の難易度は?

医学の知識も工学の知識も必要となるため、難易度が高いと思われるかもしれません。確かに、大学では多岐にわたり勉強する必要があるので、中には苦手分野も出てくるでしょう。しかし、その中で得意分野があれば、全分野において得意ではなくても大丈夫です。
実際に臨床工学技士として働く上では、文系や理系も関係ありません。数学や物理が得意なことよりも、好奇心を持って学ぶ気持ちが最も大切です。
なお臨床工学技士の国家試験の全国の合格率は、2024年で78.6%。毎年約80%前後で推移しており、狭き門ではありません。

参考URL https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2024/siken17/about.html


将来性は無限大。医療の発展に欠かせない医用工学

手術支援をする医療用ロボットなど、これから期待されている技術にも必要となる知識を学ぶのが医用工学です。さらに、医療現場だけでなくヘルスケアの広い範囲にも関わります。例えば、高齢化社会が急速に進む日本では、車椅子や電動ベッド、入浴介助に役立つリフトなど、介護現場での活躍は間違いありません。他にも、学校の授業や部活動での熱中症予防のためのバイタルのセンシングや、筋力が低下した患者様のためのロボットスーツなど、医用工学が活躍できる範囲はますます広がっています。
医用工学を学ぶことで、最初の章で例に出した体温計のように、医療技術を変革させていくことができます。それが医療の安全性を高め、患者様の生活の質を向上させていくのです。これまでもこれからも、医療の発展になくてはならない学問と言えるでしょう。

本学では、医用工学の基礎や、実践力につながる専門知識に加えて、AIやデータサイエンスなどの発展的な学びを提供し、強みを持った「現場のスペシャリスト」の育成を目指しています。詳しくは「学びの特長」をご覧ください。

【学びの特徴】https://www.juhs.ac.jp/academics/clinical_engineer/features/