学生の夏季休暇前に行われた、「多職種連携概論」の授業を紹介します。
今回は大阪腎臓病患者協議会より会長の大西眞人先生にご来学いただき、「患者の心理」というテーマでご講演いただきました。

はじめに、慢性腎臓病のお話がありました。
慢性腎臓病とは、
(1)蛋白尿(微量アルブミン尿を含む)などの尿異常
(2)血清クレアチニン値をもとに推算した糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73㎡未満
上記のいずれか、または両方が3ヶ月以上続いている状態のことをいいます。
このような腎不全患者に対する療法として、
①人工腎臓を使った血液透析(人工透析)
②自身の腹膜を使った腹膜透析
③腎移植 がありますが、
ほとんどの患者様が血液透析を行っており、2021年末の慢性透析患者数は約35万人で、男性の方が多いとお話がありました。
これだけ多くの透析患者がいる中で、人工透析機器の操作や保守管理を行う臨床工学技士はまだまだ足りていないこと。
また、透析患者一人ひとりに様々な背景があるので、それを知って頂きたい。
そして、臨床工学技士としての技術も磨いてほしいとお話がありました。
いずれも医療従事者として大切なお話しばかりで、学生たちも真剣な表情で聴講していました。
次は、血液透析の歴史についてです。
初めて日本に導入された透析装置からはじまり、これまで血液透析の開発がどのように発展してきたのか分かりやすく説明してくださりました。
医療機器の発展により、命が救われる患者様が増えていることを改めて理解することができました。

人工透析をスムーズに進めるために様々な技術が取り入れられていますが、その中のひとつ「シャント」を御存じでしょうか。
シャントとは、利き手と反対の腕に施される手術で、動脈を静脈に縫い合わせてつなぐことにより、動脈血を直接静脈に流すことをいいます。
シャントを作ることにより、静脈に十分な血液が流れ、その静脈に穿刺して血液透析が行えるようになります。

学生達の多くは、実際のシャントを目にするのは初めて。
さらに今回は聴診器で血管の流れを聞かせて頂き、大変貴重な経験となりました。

最後に、大西先生より、臨床工学技士を目指す学生へ、コミュニケーションの大切さ、患者様の事を考える大切さ、臨床工学技士は穿刺もするので技術を身に付ける大切さなどを改めて伝えて頂きました。
透析患者様には、週に3回の通院を何十年も続けられる方もおられます。
1回1回の通院の負担が少しでも軽減できるような臨床工学技士を目指していきましょう!
最後に、大西先生、貴重なご講演をありがとうございました!
